革製品ができるまで(木と革のコラボ・システム手帳)の制作工程 今回、制作の工程をご紹介するのは【LIFE】でも人気シリーズのレザースタイルよりシステム手帳をご紹介致します。 このデザインをしたのは鏡面塗装の制作工程で撮影に協力してもらった戸政修治デザイナーです。 今回も無理を言って撮影に協力してもらいました。 撮影を通して感じたのは【作業時間が長い!】もちろんいい意味で。 この重厚な雰囲気はやはり細かい仕事があっての事かと納得しました。 少し長くなりますので、なんとな~く最後までご覧いただければと思います。 |
【1】今回制作の流れをご紹介する商品はこちらの 木製システム手帳Aです。 木と革を完全に編み込んでいるステッチがアクセントになっています。 |
【2】革部分の制作のご紹介なので木の部分は先に制作しています。 | 【3】編み込む部分をレーザー加工にて切り抜いています。 計算された大きさと配列になっています。 革の部分とこの切れ目が合わないとしわが出来たりまっすぐに縫い合わせる事ができません。 |
【4】LIFEで使用しているヌメ革です。 この中から必要な部分、必要な分をカットして使用しています。 | 【5】ここで怪しげに革をフニフニしてたので何をしているのか聞いてみた。 革の向きを調べているとの事です。(革に向きってあったのか~!) 向きによって柔らかかったり、硬かったりするので使用する部分によって切り取る向きを変えているそうです。 | 【6】革の向きを確認してから必要な部分を少し大きめに切っていきます。 今回の場合、システム手帳の開閉する部分に柔らかい向きが来るよう素材を選んでいます。 |
【7】もちろん必要な分だけ。 | 【8】切り取った革を再度チェックする戸政氏 | 【9】革の向きやサイズを顧慮し切り取った革。 |
【10】ここでは木の縫い目と革の縫い目を確実に合わせるためレーザーで目印を付けます。 | 【11】均等に目印が打たれていきます。 | 【12】目印を打った後の革。 きれいに均等に縫い目の目印が分かります。 |
【13】さて、ここから実際に革の加工に入りますが、 冒頭でお話しした【いい意味で長い】がこれ以降感じた事です。 出来るだけ細かく説明していきますのでお付き合い宜しくお願い致します。 木製システム手帳Aでは革だけで7つのパーツを組み合わせて完成しますので、各パーツごとに画像の工程をしております。 | 【14】【13】で革の表面に革専用のオイルを塗布していきます。 汚れが付きにくくなるのと表面の光沢を出す為です。 上記の画像は左側が塗布した部分で右側が何もしてない部分です。 | 【15】次に背面に毛羽立ちを抑えるためのフノリ(床材)を塗布します。 |
【16】床材を塗布した面をガラスの板(硬い物)でこすります。 革の背面の毛羽立ちを抑え床材で固めます。 | 【17】右が床材を付けてこすったもの、左が何もしてない革の背面。 | 【18】縫い合わせた後に加工できない部分を予め面取りをしておきます。 |
【19】小さいパーツも全て面取りを行います。 (7パーツ全て必要な部分を面取りします) | 【20】面取りをした後細かいやすりでコバをやすっていきます。 面取りしたすべての面に行います。 | 【21】コバをやすった後は革が白けるので染料で染めていきます。 小さなスポンジに染料を染み込ませ塗っていきます。 |
【22】ここから染料で染めた部分をコバ磨き(木の棒)でこすって磨いていきます。 | 【23】画像の右の革がコバ磨きを終えたもので左が切りっぱなしの革のコバ部分です。 この一つ一つの手間が完成した時の見栄えに影響してくるそうです(戸政談) | 【24】必要な部分のコバ磨きが終わったら張り合わせの工程です。 表と裏の厚みの違う革を張り合わせていきます。 貼り合わせのボンドは使う用途によって変えているそうです。 ここではシステム手帳の開閉部分にあたる所なので柔らかいゴムのりを使用します。 |
【25】きれいにピッタリと貼りあわせていきます。 ここで気を付けているのがレーザーで仮打ちした縫い目を合わす事です。 これがずれるとレーザーの跡が残りやり直しになってしまいます。 | 【26】貼りあわせた後はローラーでムラがないよう圧着させます。 | 【27】レーザーで仮打ちした縫い目の部分を実際に糸が通る大きさに広げるため 菱目打ちという工具で穴を広げ貫通させます。 |
【28】右が菱目打ちで広げた穴と左がレーザーで仮打ちしただけの穴です。 | 【29】菱目打ちで広げた後、縫い合わせるための仮接着です。 | 【30】システム手帳のポケットになる部分。 |
【31】接着面に浮きが出ないように木槌で軽く叩いていきます。 | 【32】ペン挿しになる部分も叩いていきます。 | 【33】反対側のポケットになる部分も仮接着します。 |
【34】反対側のペン挿し部分も仮接着します。 | 【35】もちろん浮が出ないように木槌で軽く叩いていきます。 | 【36】ようやく各パーツが貼り終えました。 全体が見えてきました。 |
【37】ここからまたコバ磨きです。 【18】【19】で行った面取りをした後貼りあわせた若干のずれをサメ肌のような質感のやすりできれいに整えます。 | 【38】面取りとやすりを終えた後のコバ部分。 | 【39】これから再びコバを磨いていきます。 |
【40】シャーーーーーーーーーーーーーーっと磨いていきます。 | 【41】細かい部分も、木か指か分からなくなってきた棒で磨いていきます。 | 【42】コバを磨いた部分に保湿のクリームを塗ります。 ここまできたら革部分の加工も終わりに近づいてきました。 |
【43】きれいに磨き上げたコバ部分です。 光沢が出てより高級感が出ました。 ここでようやく終… | 【44】まだやるんかい!!(゚д゚)ポカーン 最後に細かいペーパーやすりで磨くそうです。 | 【45】最後に磨いたコバ部分。 うまく表現できませんが、よく見る高そうな革製品のあの雰囲気です。 |
【46】【45】の写真を撮影していると、ん!? 革の表面を傷つけているではないか!!! | 【47】傷つけたのは接着しやすいように背面を傷つけたそうです。 それにしても凄い勢いだった… 急に止めた!とか言い出しそうな感じだったので少し引きました… 昼過ぎに始めた制作(撮影)もこの時点でPM10:00なので少し小休憩 | 【48】撮影再開です。 ここからようやく木と革を縫う工程に入ります。 1本1本交互に糸を通していきます。 |
【49】洋服の様な縫い方ではなく糸を掛け合わすような縫い方です。 縫い方の名前を聞いた所、特にないそうです。(これまで結構詳しく説明してくれたのに…) | 【50】ピーンと糸を引っ張って縫い目にバラつきが出ない様注意しながら縫っていきます。 | 【51】結構時間が掛かります(パート1) |
【52】結構時間が掛かります(パート2) | 【53】もう少しで完了です。 | 【54】糸の最後の部分はライターであぶって溶かします (縫っている糸自体がナイロン製なので溶けます) |
【55】溶かした後熱いうちにライターの背面で押さえて止めます。 | 【56】縫い終えた内側の画像。 | 【57】縫い終えた外側の画像。 |
【58】最後に手帳の金具を取り付けて完成となります。 | 【59】中心部の部分に印を付けます。 | 【60】印をつけたところにビスが通るように穴を開けます。 |
【61】2か所穴を開けます。 | 【62】ドライバーでねじを締めて完了です。 | 【63】取り付け完了! |
【64】こんな感じで止めています。 | 【65】外側のステッチ部分。 バラつきなく編み込まれています。 | 【66】開いた時の内側の仕様。 細部にわたり美しい仕事が見て取れます。 |
【67】どやっ!!と完成したシステム手帳です。 | 【68】最後に刻印を打って完成です。 | 【68】こちらが完成したシステム手帳です。 |